佐藤優著:『読書の技法』読んで

佐藤優著:『読書の技法』

他の本とは一線を画す読書術

知の巨人達の読書法を読むときはいつもワクワクします。月平均300〜500冊を読む佐藤優が自らの読書の技法を公開した一冊です。他の読書法の本とは一線を画する内容です。その内容に著者が『読書の技法』とした所以があります。佐藤流「多量の本の読み方」、それに「知識の欠損部分(基礎知識)を補う」には何を読めば良いか」、さらに「小説や漫画の読み方」についてなど、物の見方、考え方、表現の仕方まで視野に入れた知の技法書です。

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それにこの本には無駄な記述がありません。引用された書名はボールドされ、著者自身が読んで囲いマークした箇所の引用文の紹介は、それを拾い読みするだけでも勉強になります。教養書としても読めます。

本の「はじめに」に、なぜ読書、読書法が大切か述べている、抽出引用します。

—グローバリゼーションは、ビジネスパーソンの日常にも及んでいる。終身雇用制度は過去の話になった。職場における評価も、目に見える具体的数字が重視されるようになった。また、どの企業もリンガフランカ(国際語)である英語の必要性が強調され、これまで外国語と縁がなかったビジネスパーソンの不安かきたてている。——

—–最近の教養ブームの背景には、「知力を強化しなくては生き残っていけないのではないか」という日本人の集合的意識が反映していると筆者は見ている。確かに「知は力」であり、「力は知」である。知力をつけるために、不可欠なのが読書だ。——–

—-なぜ、読書術が知の技法のいちばん初めに位置づけられなければならないのだろうか。それは、人間が死を運命づけられている存在だからだ。そのために、時間が人間にとって最大の制約条件になる。少し難しい言い方をすると、人間は制約の中で、無限の可能性と不可能性を持って生きている。—–

現在52歳の筆者は、そろそろ人生の残り時間が気になりはじめている。どんなに努力しても、知りたいことの大部分を諦めなければならい。しかし、そう簡単には諦められない。そのときに役に立つのが読書だ。他人の経験、知的努力を、読書によって自分のものにするのだ。

 

本の目次紹介

第一部 本はどう読むか

1–1 多読の技法

著者がいかにして大量の本を読みこなすようになったかを中学生から高校、大学生時代の本とのかかわり、そして外務省時代にロシア駐在で必要に迫られた速読、ロシアで会った「知の巨人」の膨大な読書量の根底にあった熟読による基礎知識と強靭な思考力などが書かれている。

1–2 熟読の技法

基礎知識をつけるための基本書の熟読の技法について詳細に述べている。たしかに筆者が言っているように、速読術とは熟読術の裏返しである。本の難易によりますが、熟読で基礎知識を身につけて、はじめて有効な速読ができる。

1–3 速読の技法

一冊(約400ページ)5分でよむ「超速読」と一冊30分でよむ「普通の速読」
「超速読」の目的は、5分の制約を設け読む、最初と最後、目次以外はただひたすらにページをめくる。この時気になる箇所は鉛筆でチェックするかポストイットを貼る。私も買ってきた本を、最初にまずこの時間を制約した速読法で読んでいます。
「普通の速読」を最も難しい技法と言っている。完全主義を捨て目的意識を明確にして読むことが大事、あくまでも熟読するための本を精査するための手段です。本の重要な部分を15秒/ページ、他は超速読する。もちろん鉛筆でマーク、ポストイットする。

1–4 読書ノートの作り方

著者の特長はノートでしょうね。「ノートを作る時間があったら他の本を読んだほうがいい」「その時間はもったいない」と主張する論者もいるが、筆者はその意見に与しない。読んでも記憶に残らず、必要なときに引き出せないと意味はない。と述べてます。ノートは私も苦手とするところです。でも読んだという自己満足だけで終わっては何のための読書かわかりませんからね。

第二部 何を読めば良いか

2–1 教科書と学習参考書を使いこなす

「知識の欠損をどう見つけ、補うか」この章は参考になります。私も、もう1ランク上の速読をめざすためには基本知識を補う必要を感じています。私は技術系だったので欠損している基礎知識が多くあります。著者は高校の教科書、参考書レベルが最適と言っています。「世界史」「日本史」「経済」「国語」「数学」と教科書の引用を交え説明しています。

2–2 小説や漫画の読み方

このなかで、数ページにわたり村上春樹の『1Q84』について著者の興味深い読み方も述べられています。

第3部 本はいつ、どこで読むか

3–1 時間を圧縮する方法

有限な時間の効率良い使い方、集中力維持などのノウハウです。

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