中国語を始めたら相原茂の『雨がホワホワ』

相原茂の『雨がホワホワ』

中国語を学ぶ人たちに向けて書かれた相原茂のエッセイで、見開き1頁の長さのエッセイが約90編収録されている。中国語の勉強を始めた頃に読んで、そして少し中国語が分かるようになってから何度か読み返している。

中国語に関わる話、中国語と日本語の違い、慣習の違いなどを、自らの体験を織り交ぜたユーモアのあるエッセイです。相原先生の書らしく文中の中国語には全てピンインが併記されている。

読み物のように読みながら勉強になりますよ。

大目次

第1章 雨がホワホワー中国語ウオッチング
第2章 氷砂糖の怪ー日本語と中国語
第3章 虹をつくる話ー中国新歳時記
第4章 中国語はおもしろいー中国語のすすめ

エッセイの一部引用

1編のエッセイの一部を引用します。実際のピンインは四声付きです。

動詞はどうした?

私がよく言い間違える文がある。「奥様によろしく」という台詞である。簡単な文なのになぜかこう言ってしまう。

请向你夫人好。Qing xiang ni furen hao.

どこがいけないか。正しくは次のように言う。
请向你夫人问好。 Qing xiang ni furen wenhao.

“问好“とする。誤用文は動詞”问“を欠いている。「奥様によろしく」は実は「奥様によろしく(言う/伝える/たずねるetc)」ということだ。日本語は動詞にあたる部分を言わずに済ませている。日本語的な発想で、中国語もついつい「よろしく」の一語”好“のみとしたようだ。考えてみると、日本語はよく動詞を省く。分かり切ったことは言わないためだ。しかし中国語 では動詞は肝心かなめの語。めったに省略されない。

例えば「私は映画が好きだ」、中国語では動詞をいれて「映画を見るのが好きだ」とするのが普通だ。

我喜欢看电影。wo xihuan kan dianying.
—<後略>

勉強になるでしょう。

収録されているエッセイの1つ『雨がホワホワ』が本の題名になっている。”雨がホワホワ”とは、どういう意味なの?

雨がホワホワ

ある中国人留学生が、スーパーでバイトをしていた。日本に来てまだ半年ぐらい。それほど日本語がうまいわけでもなかったのだろう。
仕事をしていたら急に雨が降ってきた。これは大変だ、外に並べてある品物が濡れてしまう。 店長に知らせなくては。そこで、
「店長、雨がホワホワです!」
こう言った。いきなり「雨がホワホワ」と言われても、店長は何のことか分からない。「ホワホ ワ」なんてふざけているとしか思えない。まあ、話が通じないとみるや、外を指さしたでしょう から、事なきを得たとは思いますが……。
ご存じのように、ホワホワはピンインではhuahuaと綴り、雨の降る音を表し、漢字では”哗哗“ と書く。これは擬音語ゆえ、くだんの留学生は日本でも同じと思いこんでいたのだろう。確かに 擬音語は外界の音をそのまま写したものだから、万国共通と思いがちだが、「写す」際にその言 語の音韻体系に写像される。これで変わってくる。さらに各国語の文化のフィルターがかかる。
ーーー<後略>

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