齋藤孝の『暗記力』を読んで

『暗記力』:齋藤孝

暗記には創造力がある

暗記と言えば、試験勉強、受験勉強のためのイメージで、「暗記が何の役に立つの?」、「丸暗記は創造力が育たない」など、と批判されがちです。しかし、世の中で頭の良い人、成功している人、知の巨人と呼ばれいる人たちは暗記、記憶の達人で、創造力も豊かです。
暗記にはエネルギーが必要です。皆、自然に楽に記憶できる方法を模索して、暗記するのをただ嫌がっているだけです。円周率を3.0とした「ゆとり教育」が、子供たちの創造力を伸ばすことができたのでしょうか。

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著者は、暗記こそが、人生の幸福につながり、暗記を重ねて頭の良さを求めていくことが、人生の幸福にダイレクトにつながる、と冒頭述べています。「同感です。」と、偉そうに言っている私自身も、老いたせいもありますが、読む、書く、話すを総動員する暗記が億劫になっていることを反省しながら読んでいます。

この著書の大目次は、

  1. 暗記力で「アウトプットの技術」育てよう
  2. 暗記力で「上達の技術」育てよう
  3. 暗記力で「心のタフ」さを育てよ
  4. 暗記したい日本語

さすがに引用も巧みで、分かりやすい説明です。本の一部を引用した私の要約です。

「エピソード記憶」と「丸暗記」

脳科学的に見て、「丸暗記」の能力は中学生のときがMax. で、大人になり成熟するほど、意味を理解し、説明できる「エピソード記憶」が得意になるそうです。
「丸暗記では創造力が育たない」などどと、批判されますが、丸暗記のなかに創造力があります。一句たがわず暗唱できる暗記です。「丸暗記」と、インプット、アウトプットを繰り返した覚えた「エピソード記憶」があれば、できれば、常に脳が「現ナマ」を持っていることと同じです。
記憶したことは、友達、同僚、子ども、恋人などに語る、書くなどして記憶に定着させることが大切です。

暗記力は、二乗で成長してゆく

x=yではなく、x=y2、努力の二乗で成長すると言うことです。始めは難儀なプロセスと思った暗記も、回を重ねると記憶することに慣れ、知識の蓄積効果で、加速度がついていきます。

暗記は、言語運用能力や創造性を鍛え上げてくれる

古典、小説、外国語の文章、演説と、世の中にはたくさんの名文があります。あいまいではなく、読んで、書いて、一字も違わず暗記することは、その後の日本語力、また英語力などの思考に大いに役立ちます。私も数十年前に一字一句たがわず暗記された英語の文章を今でも暗唱できます。

若いときは「食わずギライ」をなくしておこう

文系の人が科学を知る、理系の人が文学、哲学書を読むなど、でしょうか。その後の人生に大きな影響を及ぼします。私は、それを怠り、いまになって欠損している知識が多すぎたことに反省しています。専門以外の知識は、創造力を膨らまします。

暗記力は「引用の技術」につながる

著者の齋藤孝、それに池上彰、佐藤優など、書籍の出版がすごく多いと思います。彼らは暗記、記憶による引用技術があるからこそだと思います。大人同士の会話、会社のプレゼンテーションで、巧みな引用は絶大な効果があるでしょう。

せっかく読んだので、たらたら勉強してきて、なかなか進歩の見極めがつかない中国語に応用しましょう。中国語に翻訳された村上春樹、三島由紀夫、川端康成などの好きな小説の、パラグラフをいくつか選び丸暗記に挑戦したいと思っています。

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