『万叶集』:金偉、呉彦翻訳、人民文学出版社
十年位前に神保町の「東方書店」で買ったものです。2巻で数千円とお買い得の値段だったので、万葉集も中国語も勉強できると思い買いました。ずっと本棚の隅で眠っていましたが、新元号の「令和」が万葉集からの出典と聞いて、日本語の万葉集全編は持っていないので、中国語訳の万葉集をめくってみました。
本書は金偉、呉彦翻訳で、「日本国際交流基金資助」で制作され、2008年「人民文学出版社」から北京で第一版が出版されています。
2巻で1700頁、万葉集全編が翻訳されている大作
2巻で1700頁、万葉集全首が翻訳されている大作です。歌、題名、序文すべて翻訳されていて、中国人読者のために固有名詞の注釈、それに万葉集の解説、年表、地図なども収録されている。翻訳は岩波書店出版の日本古典文学大系「万葉集」に基づき、その他多くの関連書を参考にした、と記されている。
私にも読める!万葉の風貌を損なわない現代口語訳
日本人にとって、漢字だけの中国語詩歌を見ると、漢詩調の文体と思ってしまうが、この『万叶集』は現代口語で翻訳されている。実は、買ったときは中国語を始めたばかりで気がつかなかった。中国語読めると、万葉集の歌の意味の解説書としても使える。
引用:歌の翻訳例
● 籠もよ み籠もち ふくしもよ みぶしく持ち この岡に菜摘ます児 家告らせ 名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて 我こそい居れ しきなべて 我こそいませ 我こそば 告らめ 家をも名をも (雄略天皇)
篮子哟
手持精美的篮子
钎子哟
手持灵巧的钎子
在这座山岗上
采野菜的姑娘
你的家在何方
请说出你的名字
青空下的大和国
一切归我所有
一切由我支配
还是让我来告诉你
我的家和名字
●冬ごもり 春さり来れば 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ 咲かざりし 花も咲けれど 山をしみ 入りても取らず 草深み 取りても見ず
秋山の 木の葉を見ては 黄葉をば 取りてそしのふ 青木をば 置きてそ嘆く そこし恨めし 秋山そ我は (額田王)冬去春来临
冬去春来临
沉寂的鸟儿鸣叫
凋谢的花儿开放
山中林密花难采
草丛深深难寻觅
秋天登山赏秋色
手持红叶细观赏
虽感叹绿色消褪
我更爱秋天的山色
●春過ぎて 夏来るらし 白たへの 衣干したり 天の香具山 (持統天皇)
春天已过去
夏日正来临
碧绿的香具山下
晾晒洁白的衣裳
新元号「令和」の出典の『梅花歌三十二首并序』
●梅花の歌三十二首并せて序
天平二年正月十三日に、師の老の宅に萃まりて、宴会を申く。時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。<後略>—–
梅花歌三十二首并序
天平二年正月十三日、萃于帅老之宅、申宴会也。于时、初春令月、气淑风和。梅披镜前之粉、兰熏珮后之香。<後略>——-
三十二首のなかで、山上憶良と大伴旅人の歌
●春されば まづ咲くやどの 梅の花 ひとり見つつや 春日暮らさむ(山上憶良)
春来最先开放
我园中的梅花一人独自观赏
度过春日吗
●我が園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れ来るかも
我园的中梅花飘落
是天上降下的雪吗
この本は中国語を専門とする「東方書店」などに注文すると手に入れることができると思います。
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