『文は1行目から書かなくていい』:藤原智美
芥川賞作家の藤原智美の文章術です。仔細なテクニックではなく、書くことの方向を指南してくれる文章術です。フリーランスのライター時代からの経験、引用を交えた明解な説明です。読み終えると書きたくなってしまいます。
マーキングしたところを書き写しています。第1章と第2章でマーキングしたところを紹介します。
第一章は文章を書く心得
1章の冒頭の「文章の本質は「ウソ」である」で、著者が初めて「書き手」になった瞬間を述べている。それは小学校三年生の時に書いた絵日記で、その絵日記は先生を喜ばせるために考えた架空のストーリーで、いま思えば最初の「小説」だったと振り返っている。文章の本質は「ウソ」です。「ウソ」という表現にびっくりした人は、それを演出という言葉に置きかえてみてください。
文書だけに向き合う時間を集中したほうが、ちょこちょこ書くより、ずっと文章力が鍛えられる。
ノンフィクションにもフィクション同様の演出があります。違いは事実に基づいているのか、そうでないかのかということです。
視点のあいまいな文章に、人を動かす説得力はありません。
読み手を特定の一人に絞って書いたほうが、あたり障のない内容から一歩踏み込んだ表現ができる。
自己主張を避け、あいまいさのなかに逃げ込むようにして形容詞を使っている限り、表現力は磨けない。
私たちは表現力の源泉がボキャブラリーにあるかのように錯覚しがちです。
「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」(梶井基次郎『桜の樹の下には』)、自分にしかわからない感覚を文章にする。
第二章 プロの作家の文章テクニック
ゼロから文章を生み出すのはエネルギーを要する。前日にすべてを書いてしまわない。文は1行目から書かなくていい
文章は、何回も見直して推敲しながら完成させていくものです。1行目にこだわる必要は全くない。構成はパズル方式で
私は書いてから考える。よい作品は書きながら進化を続けるものです。逆説以外の接続詞を外す
「そして」、「また」、「だから」を省いただけで、文章がシャープになることがあります。自分の文章のリズムを知る
文章も長さの異なるセンテンスの組み合わせがリズムがつくられるように感じます。
鬱、薔薇・・・難しい漢字は記号にすぎない
基本的にひらがなが中心で、そのなかに、漢字がぽつりぽつりとまじるバランスが理想的ではないでしょうか。
短い文章にはメイン料理だけ選ぶ
読み手は印象にを残すためには、コース料理を一皿で表現するくらいのつもりで中身みをぎゅうと凝縮したほうがいい。
実は、削る力が重要である。
要素を段落ごとに削り落とすやり方があります。
まずは書きたい要素を盛り込んでから
ネタを出し惜しみするより、書きたいことを死にものぐるいで探すほうが視点の鋭い、深みのある文章が書けるようになります。
ヒッチコックはこうしてアイデアを捨てた。
行き詰まりを感じたら失着しないで切り捨てる。文章にも”勇気ある撤退が”が必要です。
大目次
第一章 あなたは9歳の作文力を忘れている
第二章 プロの作家の文章テクニック
第三章 名文の条件とは何か
第四章 日常生活で文章力を磨く
第五章 検索、コピペ時代の文章術
第六章 書くために「考える」ということ
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