「貧乏のすすめ」:ひろさちや著

貧しい者こそ幸せになれる

「貧乏のすすめ」と言っても、敢えて貧乏になってホームレスに成りなさいと言っているわけではありません。じたばたしても大金持ちなれる見込みはありませんよ、それであれば幸せな貧乏人になりましょう、が著書の意です。子細に貧乏人の生き方を書いたハウツー本ではなく、助け合って生きていた時代、資本主義経済での貧困の経済学、金持ちの清貧の美学、貧者の宗教学と、マクロな視点で「幸せな貧乏」を述べてます。普段このような視点で考えたことがないので、勉強になりました。

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著者は東大文学部印度哲学科卒業で、20年間気象大学校教授を務め、仏教を中心とした宗教学全般についての著書が多数あるようです。私は著者の本を読むのは初めてです。今日、八重洲ブックセンターで20ページほど読んで買い、八重洲地下街の喫茶店で読み終えました。

いくつかのキーワードについて私の感想です。

資本の論理に毒されるな

「格差社会」で気がついたら貧乏になっていた。

バブルの時代は金持ちでなかったことが幸いでした。その時に貧乏から小金持から大金持ちになって浮かれた人の多くはそれ以上のものを失いました。それでも時代の雰囲気に踊らせられて消費、消費の毎日でした。誰が言い始めたかは分かりませんが「一億総中流階級」と言う大キャッチコピーがありました。それが、いつのまにか新卒の就職難、フリーター、パートタイマー、契約社員と「格差社会」になっていたことは事実でしょう。

リストラ:新橋の飲み屋で

景気が悪くなるたびに大リストラです。リーマンショック後に新橋の飲み屋で同僚と飲んでいた時です。隣の席の60歳に近いサラリーマンの会話に思わず耳を傾けてしまいました。どうやら二人はリストラを免れたようです。でも、
「俺、もう会社辞めようと思っているよ、これじゃ身体持たないよ」
「辞めても仕事ないよ、生活どうするんだ」
「俺、朝はメロンパン一個で大丈夫だから」
「焼き肉だって食いたくなる時あるだろう」
「焼き肉?一ヶ月に一回ぐらは食べるさ」
「そうかー、お前が辞めたら俺も辞めるよ。4人分のだった仕事を今2人でやっているだろ、一人で出来る分けないよ」
「もう、辞めよう、これじゃ辞めて行った奴らより早死にしてしまうよ」
昔はリストラには慎重だった企業も、いまは慢性化して景気が悪くなると一番にリストラです。リストラを重ねる世界的に大ブランドだった会社を見ていると、あー、この会社はもう駄目だな、と淋しくなってしまいます。

あくせく働くことは美学か

団塊の世代が会社から去って、会社も変わって来ていると思います。でも、まだ日本では長時間労働が勤勉で美学の風潮が残っているでしょう。著者も述べているように、同じ資本主義でもヨーロッパと日本では違います。私は25年間ドイツの企業に勤めていました。彼らは夏に連続3週間休暇をとるのが当たり前で、時間、休暇は給料の一部であるということは経営者と社員の共有した認識でした。可処分時間が日本よりずっと多いはずです。それでもドイツは経済大国です。

金持ちに迎合するな

著者は厳しいことも言ってます。資本主義経済は、本来、金持ちの欲望を充足させるための経済体制で、小さいな欲望しか持っていない貧乏人に、金持ちの欲望を持たせ、あくせく働かせ、消費を増やさせる経済で、もう行き詰まった経済だと言っています。そして金持ちには迎合するなと。

少欲知足

貧しい者こそ幸せになれる

欲望を少なくし、足るに知る心を持て、釈迦の教えだそうです。貧乏人にも消費を求める資本主義に毒されずに、欲しい物ではなく、必要な物だけを買って貧乏を楽しめる幸せな生活に変えなさいと、著者は言っていますよ。
それでは、景気がさらに悪くなってますます貧乏になってしまうのでは? 著者は、現資本主義から脱却して福祉国家を目指すのが健全であると言っています。

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