竹内政明著:「編集手帳」の文章術

竹内政明の『編集手帳の文章術』を読んで

小説より面白い

著者は読売新聞の一面コラム「編集手帳」の執筆者でした。

名文家の文章術の秘密を知って、少しでも良い文章を書きたい。2Bの鉛筆を持って読み始めました。この種の本は、いつも途中で緊張感がなくなり、最後は流し読みになってしまいます。でも、この本は引用にユーモアがあって、ニヤッとしながら読んでいました。喫茶店で2時間、駅のホームのベンチで1時間、ちゃんと読み終えました。

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書くのが恥ずかしくなりました

確かに、この新書一冊に著者の文章術の秘密が凝縮されています。本のほとんどのページが鉛筆のマークだらけです。心を動かす名文には、著者が自分に言い聞かせているルールがあります。そのダメだしルールは、私には思い当たることだらけで、書くのが恥ずかしくなってしまいます。まずは、この本の第一章「私の文章十戒」を書き出して机の横に貼っておきましょう。

私の「文章十戒」
* 「第一戒」:「ダ」文を用いるなかれ
* 「第二戒」:接続詞に頼るなかれ
* 「第三戒」:大声で語るなかれ
* 「第四戒」:第一感に従うなかれ
* 「第五戒」:敬称を侮るなかれ
* 「第六戒」:刑事コジャックになるなかれ
* 「第七戒」:感情を全開するなかれ
* 「第八戒」:「変換」を怠るなかれ
* 「第九戒」:遊びどころを怠るなかれ
* 「第十戒」:罪ある身を忘れるなかれ

コラムの書き出し引用文

各紙のコラムの書き出しは、読者の目を引き、本文につながる引用がほどこされています。毎朝、泉から湧き出て来るような引用文はマジックのように思えます。著者の引用の「成功の3条件」の1つに「書き手がどうしてその引用を思いついたのか、読者にとって謎であること」、つまりパソコンで検索したら出て来るような引用では駄目だと言う事です。それは著者の分類されて引用の引き出し(データベース)です。ただ、そのデータをどのように引き出すかは、松岡正剛が「多読術」で述べているように、脳にたくさんのエディティング・モデルがあるのでしょう。または引用が本題から少し外れていても、やんわり結びつける特殊な能力なのでしょう。

読書術としても参考になりました

説明に作家などの多くの引用文が紹介されています。名文家が読んだ広いジャンルの本には興味がそそられます。

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