ハラハラドキドキの『中国語で短編小説を読もう! ~天下無賊~ 』

中国語で短編小説を読もう! ~天下無賊~ (CD付き):趙 本夫 (著)、永倉 百合子(翻訳)

短編小説、『天下無賊 (天下に悪人なし)』は中国語の学習教材ですが、永倉百合子さんの日本語対訳がすばらしいこと、それにハラハラさせるストーリーにはまってしまって、中国語を読み進む前に対訳を読んでしまいました。

本の構成

見開きに「ピンイン付き中国語」と「語彙の解説」、ほとんど辞書なしで読み進むことができます。

「中日対照」があるので、中国語と日本語訳を対照して読めます。

付属のCDの発音、リズムを参考に「音読」学習ができます。

物語の始まり(引用)

傻根要回家了。(傻根は主人公の名前)\
傻根已经五年没回家了。
傻根出来做工时才十六岁,现在已是二十一岁的大小伙子。
村上同来的几十个人,
每年冬天都要回去过年,大约两个月的假期,把当年挣来的钱带回去,看看老婆孩子,看看老人。但傻根从没回去过。傻根是个孤儿,来回几千里路,回家做什么?—–

傻根は故郷に帰ろうとしていた。
もう五年も帰っていない。
ここへ働きに来たとき, まだ十六歳になったばかりだったが、 二十一歳の一人前の若い男になっていた。
村から一緒にやって来た何十人かは、毎年冬になると家に帰り年越しをする。 およそ二か月の休暇だ。みんなその年稼いだ金を持って帰り,女房子供そして年寄りの顔を見に行くのだ。しかし傻根は今まで帰ったことがなかった。傻根は孤児なのだ。行き帰りで何千里もの道のりだそうして帰って行って何を るというのだ。—-

こんな物語

その傻根が故郷に帰ることを決めた。会社に預けていた5年分の給料のほとんど、6万元、を下ろして、列車を乗り継ぎ故郷に帰ろうとする。6万元は現在の為替レートでは約100万ですが、小説の時代背景は20年ぐらい前で、当時の中国の物価水準、平均所得を考えるとかなりの大金です。

途中泥棒に遭うことを心配して上司、同僚は郵便で送るようにすすめるが、馬鹿がつくほど純粋な傻根は「この世にそんな悪い人がいるわけがない」と、布袋に入れた6万元を首から下げて列車に乗り込む。

ここからが物語の本筋で、主人公が入れ替わる。傻根と座席を共にした若いカップル「王薄と王麗」、心配した通り列車には傻根の6万元を狙う泥棒がいる。「王薄と王麗」は何者なのか….そして小説の題名『天下無賊』、「天下に悪人なし」が意味するところは….

ハラハラしながら、楽しく学習できる教材です。

映画『天下無賊』

映画の王麗の役は刘若英で、2005年に正月映画として公開されています。映画は闘争シーンなどの娯楽性を加えてふくらませたストーリーになっています。

映画はYoutubeで観ることができます。中国語と英語の字幕付きです。

『中国語で短編小説を読もう! ~天下無賊~ 』
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