『マックスウェルの悪魔』:都築卓司
目から鱗の熱力学
本棚に断捨離できないBlue Backsが場所を占めている。『マックスウェルの悪魔』を開いてみた。初めて読んだのは1975年、25歳のときです。某企業の熱機関関連の設計に所属していた。その頃、赤のボールペンでマーキングした箇所をを読み直したみた。いま読んでも内容に古さはない。
物理、工学を専門とする学生、技術屋、それに、ひろい読みすれば科学好きな少年にも読める、熱力学の名著だと思う。実際に仕事で、この本の内容を引用したことが何度かある。
たとえばエネルギー問題、まだ代替エネルギーが見えていない。この著書で、熱力学の第一法則、第二法則、エントロピーの概念を復習して、エネルギーの質(良否)について知れば、いま流行の代替エネルギーに簡単に飛びつくこともなく、また一方、代替エネルギーの難しさも見えて来る。
頁を開いた「はじめに」にこのようなことが書かれている。
われわれが手紙をかくとき
「残暑きびしき折から・・・」
「朝夕めっきり涼しく・・・」
「日、一日と寒さもやわらぎ・・・」
というような気候の挨拶から入ることが多い。会話の場合にも
「お暑うございます」
「お寒うございます」
「いい陽気になりました」
このことは、人間おのおの個性に応じて趣味、嗜好、関心などの違いが全く千差万別であるが、皮膚に対する気温の感覚だけは一国の元首にも革命家にも。野球選手や流行歌手にも共通する公約数であることを語っている。・・・・このように温度というものは誰もが常に感じている、しかし、温度–さらにその原因になる熱については、他の自然現象とくらべて大きな違いがある。その大きな違いを調べていくのが本書の目的である。
この本は、熱をマクロの熱力学、ミクロの物理学、確率で説明しています。私は昔の工学系なので、古典的なマクロな熱力学の説明で理解しました。
Amazon➡️新装版 マックスウェルの悪魔―確率から物理学へ (ブルーバックス)
楽天➡️マックスウェルの悪魔新装版 確率から物理学へ (ブルーバックス) [ 都筑卓司 ]